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日銀が金利の上昇を許容した理由は何ですか?

日銀が金利の上昇を許容することとなり市場では事実上金融引き締めにあたるという受け止めから円高ドル安が加速しました。 欧米の中央銀行が利上げを進める中でも動かなかった日銀がなぜいま動いたのか? 経済部 日銀担当キャップの下村記者が解説します。 A.金利の変動幅の上限を引き上げたわけですから、日銀は金利の上昇を容認したわけです。 市場の受け止めは当然です。 記者会見で黒田総裁は「利上げや金融引き締めを意図したものではない」と繰り返し説明しました。 ただ、日銀はこれまで、変動幅の拡大は「金融引き締めにあたる」と説明してきました。 ですから20日の決定は、唐突な印象が否めません。 多くの市場関係者も、サプライズだと受け止めて、激しく反応し、円高、株安が進みました。

日銀当座預金の利上げはできますか?

日銀当座預金に付利がなされていない場合(2008年10月に補完当座預金制度が導入されるまでは付利なしだった)、2006年にゼロ金利の解除を行った時と同じように、利上げの前にオペを通じて超過準備を吸収する必要があるが、現時点では日銀当座預金にプラスの付利をすることができるため、付利の水準を引き上げさえすれば利上げはできる。 民間金融機関は資金を日銀当座預金に預入するか、コール市場などの短期金融市場で運用するかを考慮して資金運用を行っているから、日銀当座預金に対する付利の水準を引き上げれば、コール市場における金利の水準を上昇させることができるからだ(裁定取引を通じた金利の調整)。

利上げをすると国債暴落が起き、日銀のバランスシートが債務超過になるのはなぜですか?

したがって、「利上げをすると国債暴落が起き、日銀のバランスシートが債務超過になる」「債務超過になるのをおそれて、日銀は利上げができないままでいる」というのは立派な「トンデモ経済学」ということになる。 「統合政府」で考えると? もっとも、政府と中央銀行のバランスシートを統合して、広義の政府のバランスシートをもとに財務状況を把握すべきという視点からすれば、中央銀行(日銀)だけでなく狭義の政府の状況も併せて考慮すべきということになるかもしれない。 国債という債券の発行主体である政府には、利上げに伴って利払費の増加という問題が生じることになるからだ(もちろんこれは政府の債務が嵩む要因となる)。 この問題を考えるうえでは、次の2つのことに留意が必要となる。

日銀の当座預金を現金に変えるのはなぜですか?

一般に取り付け騒ぎというのは、預金の払い出しを求めて預金者が銀行に殺到することだから、この場合は民間金融機関の人(現金受払事務の担当者)が日銀の本支店(あるいは戸田の発券センター)に行って日銀当座預金を引き出し、現金に変えることになる。 だが、冷静に考えると「現金」というのは日銀券のことであり、日銀券というのは、その所有者(占有者)から日銀がお金を借りていることを表す債務証書である。 となると、民間金融機関が日銀から当座預金を引き出すというのは、預金という形で日銀に対して持っている債権を(日銀の側からみると民間金融機関に対する債務)、日銀券という形の債権(日銀の側からみると発行銀行券という形の債務)に置き換える作業を行っているに過ぎないということになる。

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